菩提寺とは菩提所とか旦那寺ともいい、一家代々帰依(キエ)して葬儀、追善供養などをいとなむ寺をいいます。
かつては必ずどこかの寺の檀家にならなくてはいけない決まり(檀家制度)がありました。
明治以降制度は廃止されましたが、都市部を除き家と寺の関係は密接に保たれています。
信仰は個々の自由であり、家として宗派が規定されることは問題だ、という考えもありますが、葬儀・年忌法要等が家単位あることからして、菩提寺と檀家の関係は今後も続くものと考えられます。
寺としては、個人個人の信仰の自由を妨げることなく、また、社会的に著しく悪影響を及ぼさない限り、他宗派の非難をすることなく、その教義を尊重したうえで、檀信徒に対する布教を致しております。
都市部では、先祖代々の菩提寺が遠方にある寺との付き合いがわずらわしい、寺の墓地を求めることが困難であるなどの理由で、霊園墓地を求め、とくに菩提寺を定めておられない方が増えています。
しかし、反面、葬儀、法要の度に担当の僧侶が替わりなじみがもてない、ただ決まったお経をよむだけであたたかみが感じられない、法話が聞けない、宗教行事に参加したいなどの理由で、霊園墓地を持った後でも菩提寺を定めたいと考えておられる方もあります。
また一方、葬儀の際法名(戒名)を授かるということは、仏弟子となった証であり、本山から認められた寺の住職によって、御血脈と共に法名が授与され、仏の戸籍簿というべき寺院の過去帳に記入されるのが本来の姿です。従ってどこの寺の何という僧侶から法名を戴いたか判らないというのでは、故人もまた、遺族も安心を得ることができないと思うのも当然です。
当寺では、寺の過去帳と共に、檀信徒戸別の過去帳に法名を記載し、それぞれの位牌に収めて本堂にお祀りし日々に供養致しております。
また、寺院会計を公表し壇信徒に対し寄付の要求をしないで寺院運営をすることを法人として決議し、墓地使用規則にも明記しています。
檀信徒の皆様が、寺との付合いで過度な経済的負担を感じたり、わずらわしさを感じたりすることのないよう配慮しています。
当寺は、御縁を結ばれた方どなたでも入壇できる、開かれた寺であり、壇信徒各家のご先祖様の冥福をお祈りすると共に、檀信徒一人一人の心のよりどころとなる菩提寺でありたいと願っております。