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第43号 お盆号(平成15年6月30日発行)

善勝寺だより 第43号
平成15年6月30日発行
発行責任者 明見弘道
暑中お見舞い申し上げます。
檀信徒の皆様におかれましては、益々ご清祥のことと存じます。
お陰を持ちまして当寺、観音堂、山門などの工事は順調に進み、予定通りお盆までには落慶する見込みです。
さて、皆さんはセレンディピティーという言葉をご存じでしょうか。私は先日車の中でラジオを聞いていて初めて耳にしました。偶然のチャンスを生かす能力、思いがけない発見をする能力、などと言った意味があるようです。
『セレンディブの3人の王子』というスリランカの童話からこの名前が付けられています。

ノーベル賞をもらわれた白川さん田中さんとも、失敗から、あるいは全くの予想外の偶然から発見されたものがノーベル賞につながったのです。この予想外のチャンスを見逃さないことが一つの才能であり、このことをセレンディピティーといいます。

私たちが小学生のころは、先生に「道草をしないで帰りましょう」などといわれたものです。逆に言えば、いつも道草をしていたわけですが、道草することは目的のない行動ですが、そこに思いがけない発見があり楽しみでもありました。
本来セレンディピティーという能力は人間誰しも持っているのでしょうが、画一的な教育をさせられ、マニュアル化された訓練を受け、常識といわれるものの中でいるうちに、この能力は退化してしまいそうです。
マニュアルにないことには対応できない店員さん、他人に面と向かって話すのが怖いという若い人もいます。現実から逃避する人も出てきます。
生きてゆくこと自体、偶然との出会いの内にあるわけで、予想外のことばかりといっても過言ではありません。
セレンディピティーという能力は、私たちみんな等しく持っているという自信を持ち、そして何があるか解らないからこそ人生は楽しいのだと思いたいものです。

さて、別紙ご案内を同封いたしました如く、『山門大施餓鬼法要』は例年の通り、8月13日に行います。(今年は水曜日です)
本行事は檀信徒総会の意味も兼ねておりますので、一家に一人は是非お参り下さいますようご案内申し上げます。
当日は混みあいます。普段着で涼しい格好でおいで下さいませ。また、塔婆のお申し込みは、同封のはがきにてお早めにお願いします。
当日バスでお越しの方は、鴻巣駅を9時26分または10時23分発をご利用下さい。
鴻巣駅のバス停は東口の交番のところで、広域循環バス『フラワー号』左回りです。
時節柄ご自愛下さいますようお祈り申します。

明見弘道合掌

東光山ミニ法話

『白隠禅師座禅和讃』その11

布施や持戒の諸波羅蜜、念仏懺悔修行等、
其品多き諸善行、皆この中に帰するなり。

他に施しをしたり、自分に厳しく戒を守ったりする仏教の実践(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の六波羅蜜)。あるいは念仏を唱えたり、自分の行いを懺悔したり、身をもって仏道の修行をするなど、種類さまざまな諸々の仏道の実践も、結局はこの禅定(座禅)というもののなかで成就されるのである。(西村恵信師訳)

前回『布施』のところだけで終わってしまいましたのでその先を続けます。

『持戒』、原始仏教では、男のお坊さんには250、尼さんには500もの戒律があるといわれております。一般に持戒といいますと、多くの戒律を頑張って守り続けてゆくことのように聞こえるかも知れませんが、本質をよく見れば、持戒とは「人の邪魔をしないこと」であることがわかってきます。
お釈迦様在世当時、コーサラ国の国王とそのお后は、「今朝私たちは、この世で一番愛しいのは自分であるという結論に達しましたが、この考えは如何なものでしょうか」と、お釈迦様に尋ねました。すると「我々の心は、極めて自由に世界を飛び回ることができるけれども、どこをどう探し回ってみても、我々は自分より愛しいものを見つけることはできない」と二人の結論に賛成をされ、続けて次のように言われました。「だから、おのれの愛しさを知るものは、他の人もまた、その人自身がもっとも愛しいのだということを知って、傷つけてはいけない。害してはいけない」と、これは『不害の説法』といいます。

どこの自治体でも行っているかと思いますが、境地区も町内会総出で、道ばたのカン拾いなど行っています。
このボランティアでカンを拾うのは、『布施』ですが、日頃ゴミを捨てないようにする、こちらが『持戒』です。普段は平気でゴミをまき散らしておきながら、ある一日だけゴミ拾いをしてボランティアといえるでしょうか。
親から何万もの小遣いをせびって旅行に行って、1,000円か2,000円のおみやげを買って親に渡して、親孝行したと言えるでしょうか。
自分は人のため家族のために尽くしていると思っていても、よくよく考えてみると、それ以上に、自分も家族からまた多くの人から、支えられていることがわかります。持戒と布施は表裏一体で持戒の精神があってこその布施といえます。

もう一つ、釈尊が「他を害してはいけない」と言われた言葉の中には、すべての人々の根底には、生まれながらにして、自らが自らを守り支え、生き抜いてゆく力が備わっているという認識であり、これが仏教の「悟り」にほかなりません。

このことから「あの人は助けてあげなければ駄目な人だ」また、「あの国は援助しなければ成り立っていかない」などと、簡単に思い込んでしまうことは間違いです。どんなに貧困でも、どんなに苦しくても彼ら自身が自らを律してゆくだけの力が、また問題を乗り越える力があると信じて見つめること、そして、相手から要請があったときのみ必要な手伝いをする。これが真の布施であり、一方的な価値観で援助することは、相手を害することにもつながります。真の布施は「相手の邪魔をしないこと、相手を害さないこと」という「持戒」の精神が基本になります。

(故宗興老師の著書参考)

役員会議事録より

去る4月24日、善勝寺定例役員会が召集され、全役員の出席を得て、平成14年度一般会計決算、その他審議しました。
以下、決議事項を報告致します。

  1. 事業報告、会計報告
    ※塀・車庫物置・観音堂などの工事進捗状況と、14年度入檀者数など寺の現状を報告。
    ※会計決算は、報告の通り適正であると承認。15年度には多額な工事計画があるため、剰余金2,900万円余は全て15年度一般会計への繰越金とするこを議決しました。
    (檀信徒の皆様には施餓鬼法要の時、会計より、会計決算報告を行います)

  2. その他
    ※当寺檀徒内に青壮年部結成の機運があることを報告。本山花園会でも各寺に青壮年部・婦人部の結成を促していることから、自主的な盛り上がりは歓迎すべきこととして、お盆までに正式に発足することを承認。
    ※お盆の行事は、おおむね昨年通りとするが、施餓鬼会の経費を削減することと、総会的要素は始めにし、焼香・水向けの後、退席するも可とすることを申し合わせしました。

皆様のご協力願います。

毎年のことですが、施餓鬼会の供養料は、当日の経費を除いたものすべて、対人地雷撤去のため、ユニセフ、地元社会福祉協議会などに寄付致しています。今年は特にイラクの復興支援、カンボジア・アフガニスタン地雷撤去のための支援をする予定です。盆の供養料は定めていませんが、今年も皆様の暖かいお志を布施行としお納めいただきますようお願い致します。

また、供養料は袋に入れて施主氏名をお書き下さい。名字だけですと記帳できないことがありますのでフルネームでお書き下さい。

事務的なお願い

その1

封筒の表書きで、郵便番号・住所の間違い・変更がある方は、お知らせ下さい、特に、さいたま市にお住まいの方はご面倒でも、新しい区名・郵便番号をご連絡下さい。

その2

当寺墓地内にある墓参用の手桶のことですが「○○家」と書かれた手桶であっても、どなたが使用してもよいことになっています。
「その桶は私のだ」と言った方があるようですが、自己所有と思っておられるのでしたら寺には置かないでお持ち帰りください。

その3

檀徒の方で、15年度護持費が未納の方には郵便振替用紙を同封しましたが、すでに納入されたのに振替用紙が同封されている方は、当方事務ミスの可能性もありますので、ご連絡下さい。

その4

当墓地内に建立された墓石に関すること、清掃・メンテナンス等は各自の責任のもとに行ってください。
特に、墓誌への刻字、納骨所の蓋のメジなどは、寺に依頼するのではなく、墓石を建立された石材店に各自で依頼するようお願いします。

その5

緊急の場合を除いて、寺への電話連絡は朝9時以降、夕方は8時頃までとさせていただいております。是非ご協力下さい。

編集後記

『善勝寺だより』お盆号(43号)をお届けします。

いよいよ観音堂も完成間近となりました。一年以上も仮安置されていた観音様も新しい観音堂へ引っ越しです。本来でしたら、落慶法要を行うべきところですが、今年の施餓鬼会に兼ねることと致します。施餓鬼会始めに、皆さんとともに「般若心経」を読み観音堂と山門の落慶の回向を致します。

また、この観音堂には冷暖房も完備されており、年忌法要などの折、待合所としてもご利用いただくこともできます。
観音様も今までの300年間との違いにビックリされるかも知れませんね。
埼玉の永代供養、墓じまいのご相談は善勝寺
〒365-0013
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TEL.048-569-0810
FAX.048-569-2294
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