本文へ移動

第53号 正月号(平成18年1月20日発行)

善勝寺だより 第53号
平成18年1月20日発行
発行責任者 明見弘道
謹んで新春のご挨拶申し上げます。
檀信徒の皆様には、良いお年をお迎えのこととお察し申し上げます。

今年は戌(イヌ)年に当たります。お寺にも13歳になるビーグル犬『点心』がいます。人なつっこく誰にでも愛嬌を振りまくのでまだ若いように見えますが、人間で言うと、70~80才のお爺さんです。
イヌも年には勝てないようで、腰痛・白内障等人間と変わらぬ病気が出てきました。今のところ痛み止めの薬や針治療で済んでいますが、そのうち介護も必要となることでしょう。

今年、平林寺から大般若のお札と共に老師が書かれた色紙が届きました。色紙にはイヌの絵と「狗は家の貧なるを嫌わず、人は地の薄きを嫌わず」と書かれてありました。
犬は飼い主の家が貧しいからといって、それを嫌うことをしません。他と比較することなく、飼い主に忠実です。
しかし人間はどうでしょう。 自分の都合で、相手を好きになったり、嫌いになったりします。学校や仕事まで、ちょっと何かあるとやめてしまいます。
何事も自分の思うようにはならないのがこの世の常なのですが、なかなかそれを受け入れることが難しいのです。

次の句の「人は地の薄きを嫌わず」は、人間は自分の生まれ育った土地、また「住めば都」ともいい現在住んでいるところに愛着を持つもの、という意味です。どんなに不便な所であっても、故郷は故郷です。戦争などで故郷を追われることはこの上なくつらいことと思います。

世界中で多くの方が難民生活、日本でも災害などでの避難生活を余儀なくされている方が多くあります。本来あるべき姿に戻られるよう少しでも支援致したく思います。世界的視野から見ますと私たちは幸福です。今あるご縁を大切にし、感謝の念で過ごしたいものです。

文末となりましたが、皆様の無事とご多幸をお祈り致します。

平成18年正月 明見弘道合掌

今年の行事

修正會
正月元旦より3日間
涅槃會
2月15日
春彼岸會
3月21日(中日)
降誕會
4月8日
開山忌
8月1日
施餓鬼會
8月13日(日曜)
秋彼岸會
9月23日(中日)
達磨忌
10月5日
成道會
12月8日
除夜
大晦日

年回表

壱周忌
平成17年
参回忌
平成16年
七回忌
平成12年
壱拾参回忌
平成6年
壱拾七回忌
平成2年
弐拾参回忌
昭和59年
弐拾七回忌
昭和55年
参拾参回忌
昭和49年
参拾七回忌
昭和45年
五拾遠年忌
昭和32年
今年、年回が当たっておられますお宅には、すでに法事の知らせを郵送致しておりますが、 法事の予定はお早めにお立ていただき、予約はFAXやメールでなく電話でご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。

東光山ミニ法話

『白隠禅師座禅和讃』その21

無念の念を念として
うたうも舞うも法の声。

何ものにもこだわらない心を、一瞬一瞬の心とすることによって、歌っているときも、踊っているときも、そのまま真理のまっただなか。(西村恵信師訳)

人は考える葦だと言われます。まことにそのとおりであります。考えるところに人間の価値はあり、文明の道は開け、文化の花も開きます。科学も哲学も文学も人間が考えることから生まれたものでありましょう。
一方、仏教ではよく、「考えるな、分別するな、計らいを捨てよ、馬鹿になれ」などと教えますが、これは何も「全く考えることをするな」という意味ではなく、「いらざることを考えるな」ということであります。不登校・引きこもりといった問題も、精神の浪費、神経の過労、考えの過ぎが元にあるようです。

現代社会はあまりにも多くの問題を抱えており、考えるなと言っても、考えすぎざるを得ないのです。しかもその上に、あり得べからざる空想をほしいままにし、必要以上にくよくよ考えて頭脳をつかうならば、それはまったく精神の浪費であります。そこからはなんらの結論も出てきません。結論のない迷路であります。その恐ろしい迷路に落ち込むと、ついにはみずから立つ自信さえ失ってしまうのであります。

「明日のことを思いわずらうことなかれ、一日の憂いは一日にて足れり」と示されている如く、わたくしどもは、精神の浪費を整理し、正しい考え方、健全な考え方をしなければならないと思います。そうした頭脳の整理をしていくことを座禅というのであります。

柳澤桂子という、有能な科学者で今は難病で苦しい闘病生活を余儀なくされている方が書かれた、『生きて死ぬ智慧』心訳「般若心経」の始めに
ひとはなぜ苦しむのでしょう
ほんとうは
野の花のように
私たちも生きられるのです
とあります。

また唐代の名僧趙州和尚に雲水が「達磨大師はインドから中国へ、何しに来られましたか。その意志は何でしたか」(祖師西来意)と尋ねたところ「庭前の柏の樹じゃ」と答えたと言うことです。
何のことか分からないのが禅問答ですが、「本来の仏法が中国の方にうまく伝えられるだろうか、病気はしないだろうか、いやわしが行かねば」などとごたごたした分別があったり、意識の分裂、すなわち何らか苦悩があったとしたら、祖師ではありません。もし意志があったとするなら、それは「無念の念」であり、無意志の意志であったというこです。この微妙な論理を矛盾なしに解決しているものが、自然の草木であります。趙州和尚が「庭前の柏樹子」と答えたヒントはその当たりにあります。

また、柳沢女史のいう「野の花のように私たちも生きられるのです」も、無念の念をヒントにしていただければ、何となく理解いただけるのではないでしょうか。
「赤子のような心にならなければ、天国には入れない」という言葉もありますが、赤子のような心、草木の心、すなわち無念の念を念としているならば、一挙手一投足、何を行うのも、そのまま仏様の姿であり、仏様の行いであります。白隠禅師はそこのところを『無念の念を念として、うたうも舞うも法の声』とうたわれたのであります。

(故山田無文老師の著書参照)

【護持費】のこと

この護持費は、当寺を護持するため、檀信徒全員が平等に負担するとの趣旨でお願いいたしております。
同封の「護持費納入のお願い」をお読みいただき善勝寺にご縁のある皆様、一人でも多くの方より納入いただきますようお願い申し上げます。
霊園などに墓地がある方は、納入は任意であり義務はありませんが、護持費未納の方には6月末発行の『善勝寺だより』(お盆号)から発送を止めさせて頂くこととなりますのでご了承ください。ただし、葬儀法要などの依頼には納入者と区別無く承ります。

【大般若札】のこと

同封いたしましたお札は、大般若転読祈祷といって、正月3日間、仏法興隆、五穀豊穣、社会の平和、山内と檀信徒皆様の無事を祈願いたしました、お札であります。 玄関に貼られるか、仏壇の中に入れて下さい。
昨年のお札はお寺にご持参いただければお炊き上げ致します。
毎年正月三が日10時より『大般若祈祷』を行っていますので、皆様にお参り頂き、その後書院にて年頭の挨拶をさせていただくのが望ましいと思っています。来年は是非ご家族揃ってお参り下さいませ。

花園会のコーナー

米寿・百歳の方はお申し出下さい

花園会員(檀徒とその同居の家族の方)で米寿(数えの88才)と100歳をお迎えの方には本山の管長様からお祝いの手紙に添え記念品(輪袈裟)が頂けます。
今年は大正8年生まれの方、明治40年生まれの方、またそれ以上でまだ受けておられないかたがその対象となります。対象者がおられましたらご連絡下さい。当寺で手続きいたします。
6月までにお申し込みいただければ施餓鬼会に皆様の前で授与できます。

役員会議事録より

12月29日と30日、伊香保温泉「天坊」を会場として、主に次年度予算の審議を行うための『定例役員会』並びに研修会を開催しました。
以下審議・決議内容を報告します。

  1. 現状報告。
    今年度入檀者数、収支に関する現状を報告。

  2. 今年度の施餓鬼会に関する意見と来年度以降の課題。
    欠席者の方も供養料が必要であることを案内状に明記する方がよい。
    また、形態は今年度に準じて行う事を申し合わせ。

  3. 墓地用地並びに駐車場拡張に関する計画案を提示、これを承認し、当会計年度内に実現を図ることが承された。

  4. 平成18年度行事・事業計画。
    イ、行事は例年の如く
    ロ、新規事業計画は特になし。
    必要とされる補修・修繕などは、住職に一任。

  5. 平成18年度一般会計予算案承認に関する件。
    17年度からの繰越金が1千万円。
    18年度の総収入を7千万円と見越し、総額8千百万円余の予算書案を原案通り承認。通常経費はすでに開示してあります平成16年度の決算内容にほぼ準じ、他は基本財産として積み立てする内容となっています。

  6. その他。
    イ、墓地内に古い暮標(木製)が多くあることは望ましくない、という意見が出され、今後墓標の建立はしないよう、また現在墓標となっている施主に対しては、できる限り早い内に石塔を建立されるよう協力を求めることを申し合わせした。
    ロ、青壮年部から、除草・殺虫剤散布など、1年間の活動内容を報告。

以上。

編集後記

  • *遅くなってしまいましたが『善勝寺だより』正月号をお届けします。
    年末の不摂生がたたり、正月早々インフルエンザになってしまいました。
    3日の大般若祈祷の後熱が出て、病院でインフルエンザAと分かった次第です。タミフルのお陰かインフルエンザはすぐ陰性になったのですが、半月経った今も微熱と咳が収まらず、すきっと治りません。「点心」(寺の犬)のことばかりではなく、自分自身歳をとったなと実感しています。
    今年も年始には多くの方にお出かけいただいたのですが、私から年賀のしるしに「ウィルス」をもらってしまったという方もあるかもしれません。もしそのような方がおられましたらご勘弁下さいませ。
  • 次号『善勝寺だより』は、3月彼岸前に発行する予定です。今年もご愛読いただきますようお願い申し上げます。

事務局からのお知らせ

年忌法要のお知らせは、パソコンからプリントアウトしたものを郵送しました。
戒名・没年月日などに間違いがありましたら、ご面倒でもお知らせ下さいますようお願い致します。
埼玉の永代供養、墓じまいのご相談は善勝寺
〒365-0013
埼玉県鴻巣市境147
TEL.048-569-0810
FAX.048-569-2294
TOPへ戻る