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第68号 秋彼岸号(平成21年9月10日発行)

善勝寺だより 第68号
平成21年9月10日発行
発行責任者 明見弘道
気温はまだ高いのですが、秋らしい爽やかな乾いた空気になりました。檀信徒の皆様には如何お過ごしでしょうか。
境内には、ススキの穂も出て秋の草花が咲き始めました。秋の七草は、萩・薄(尾花)・葛・撫子・女郎花・藤袴・朝顔、をいいますが、五番目以下を木槿・桔梗・昼顔とする節があるようです。いずれにせよ葛以外は境内にあり私たちを楽しませてくれています。

彼岸花も芽が出てきました。この花は気温に関係なく、昼と夜の時間が同じになる頃芽を出し花を咲かせます。そこで毎年彼岸にお参りいただく時には満開になっているのです。
彼岸花は曼珠沙華の別名ですが、曼珠沙華は仏教用語で、天上に咲くとされる架空の花の名前です。彼岸花のことをマンジュシャゲと呼ぶのはとてもよくあっていると思いますが、別名ユウレイバナ・シビトバナと呼ぶこともあるようです。お墓にたくさん咲いているのでそう呼ぶようになったのでしょうが、これは頂けません。
今でも彼岸花を自宅の庭に植えることは好まれていませんが、きっと「ホトケさんの花だから」と昔からの言い伝えで敬遠されているのではないかと思われます。

また、彼岸花には毒があるともいわれています。確かに鱗茎と言って球根のように膨らんだところに毒があるようですが、今も薬として使用されていますし、江戸時代には飢饉の時毒を除いて食用にしたと何かの本に書いてありました。
私はこの彼岸花が好きで、こらからも境内のあちこちに植えていきたいと考えています。
ユウレイバナではなく、天上に咲いた曼珠沙華としてご観賞頂きますようお願い致します。

文末になりましたが、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

明見弘道合掌

ご案内

秋季彼岸会

下記のごとく、彼岸法要を厳修致します。檀信徒の皆様、多数ご参拝いただきますよう、謹んでご案内申し上げます。

9月23日 午後2時より 法要の後、法話・茶礼

秋分の日をはさんで7日間を彼岸といいます。お墓参りやお寺参りをして故人を偲びます。
寺やお墓には、皆様のご都合のよい日、いつお参りされてもよいのですが、日程が合えば、お中日2時からの彼岸法要にお参り下さり、共にご読経いただければ幸甚です。

*塔婆を建てられる方は前もって、電話やFAXまたはメールでお申し込み下さい。なお、そのさい、施主名のほか、戒名、お参り予定日もご記入願います。

次に、彼岸会には、受付はありません。塔婆料(一基3千円)・お供えなどは、施主氏名をお書きの上、焼香の時、前机にある黒いお盆にお載せください。

東光山ミニ法話

『般若心経』その12

遠離一切顛倒夢想。究竟涅槃。

一切の顛倒した心を遠く離れて、永遠の平安「涅槃」に入る。 元々の教典には「一切」の2字は無かったのですが、いつの間にか加えられたと言うことです。顛倒は考え方が逆立ちしていること、間違った考え。夢想は夢のようなつまらない思いごとです。

四顛倒という言葉もあります。これまでの般若心経の解説にあったように、この世は無常であり、永遠なものは無いのですが、永遠だと思いこむ。この世は苦(思うようにならないものである)であるという真実を忘れ、願うこと全てその通りになり、楽しいものだと錯覚する。自分の体も含め全ては不浄であるのに清浄なものだと思う。自我も本来は無いものであるのに、実在だと思う。これらを凡夫の四顛倒と言います。
またこれとは反対に、無常・無楽・無我・無淨という理にとらわれて全てを否定的に、厭世的に考えることも正しくありません。これらを二乗(声聞・縁覚)の四顛倒と言っております。

『般若の智慧を具えた菩薩は、この無常の世にあって常住の法身を発見し、苦の世界に住しながら、無上の楽土を発見し、自我を否定し尽くしたところに諸仏の大我を自覚し、不浄の生活全てを浄化する智慧を発得され、一切の顛倒妄想を離れ、常に涅槃寂静の浄土に遊ばれるのであります。』(無文老師)

ここに至って初めて「涅槃に究竟す」となります。涅槃は円寂と訳されますが、円に寂で、常に微笑んでおれる世界が涅槃であります。
涅槃とは貪欲永えに尽き、瞋恚永えに尽き、愚痴永えに尽き、一切諸の煩悩永えに尽く、是を涅槃と名づく。(雑阿含経)
究竟というのは、窮め尽くすと言う意味です。
この「涅槃を究竟する」ということは、私たちの人間性の本質に帰ることであります。いつも微笑んでいたいというのが人間性の本質でありましょう。赤ん坊がニコニコ笑っているように、いつもニコニコ笑っておれる世界が涅槃の境地であります。全てを受け入れることのできる心の広さを持つことであります。

(故山田無文老師著「般若心経」を要約抜粋しました。)

〈つづく〉

事務局からのお知らせ

今月24日より書院玄関の拡張工事が始まります。旧庫裡に通じる敷石を外しますので、ご来山の折りには足下にお気を付け願います。。
工事中であっても、書院は法事の控え室、お斎の場として使用できます。尚、書院の工事は年内に終わる予定でありす。

また、10月には旧庫裡の解体も始まります。旧庫裡の場所には大玄関、第2客殿(8畳2間)、位牌堂ができます。書院の玄関と本堂横の大玄関は渡り廊下でつながりますので、雨天でも本堂への行き来が便利になります。

来年7月までの工事期間中は、何かとご不自由をおかけ致すことになりますが、何卒ご理解下さいますようお願い致します。

今年も施餓鬼法要に多数お参り戴き有り難うございました。

当山の施餓鬼法要は、大変有り難いことではあるのですが、年々参拝者も増え、せっかくお参りいただいても本堂に入ることができないで、書院でお待ちいただく方が多数あります。
今年は特に、午後の三座と四座は混雑しました。また、業者による葬儀サポートの話もあり法要時間が1時間を越えていまい、もう少しどうにかしてほしいとの不満の声も聞かれました。
塔婆を探す時も、アイウエオに分け合っても数が多く大変であったとの意見も多くありました。

当日、後片付けをした後の反省会では、来年の施餓鬼会に向けての多くの提案を戴きました。役員会で更に検討を重ね、塔婆立ての増設、時間の短縮など、来年以降皆さんに気持ちよくお参りしていただけるよう、改めるべきは改める所存です。

役員を始めお手伝いいただきました皆様には暑い中、長時間に渡り誠に有り難うございました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。

恒例にしています施餓鬼会供養料の一部を寄付する件ですが、今年は墓参用生花販売の収益金と合わせ、23万円を寄付させていただきました。

寄付金の内訳

『難民を助ける会』に、対人地雷撤去のための支援金とマラリア対策の蚊帳20張分として9万円。
『フォスタープラン協会』にインドの貧しい子供を救うために6万円。
『佛教情報センター』に特別会費5万円。
『アンナプルナヘルスプロジェクト』に年会費として、1万円。これはヘリオス会病院の森田院長先生が理事長になっておられるNPO法人です。
『日本赤十字社埼玉県支部』に特別社資2万円を「鴻巣市赤十字奉仕団」を通して納めました。

以上

ご案内

第15回 わかる仏教講演会

隔年に開催しております、鴻巣市仏教会主催の「わかる仏教講演会」は、今年で15回目となります。
今年は、臨済宗円覚寺派管長 足立大進老師を講師にお招き致します。
仏教をどなたにも分かるよう、また、実際の生活に生かしていただけるようなお話をしていただくことがこの講演会の趣旨であります。
今回も心に残るとても良いお話が期待できます。多数ご来場下さいますようご案内申し上げます。

日時 平成21年12月3日 午後2時開演(12時半開場)
場所 クレアこうのす
主催 鴻巣市仏教会
共催 鴻巣地区仏教研究会

入場は無料ですが整理券が必要です。整理券は今月18日以降善勝寺にてお渡しできます。友人知人ご近所お誘い合わせてご聴講下さいませ。

妙心寺のこと その4

前回に引き続き開山無相大師様のことを書きます。

花園法皇に請われ妙心寺に入られた後は、堂宇の整備には関心を持たず、ひたすら修禪に務められ、特に弟子の指導は厳格であったと伝えられています。
しかしその反面、温かい人柄でもあったらしく、客のために風呂を湧かそうとしたが薪がないため縁板を取り払って燃やしたなどと、人をいたわる様々な逸話が伝えられています。
開山様には語録もなく墨跡もほとんどありません。禅の教えは、「不立文字」「教外別伝」で、文字や言葉で伝えられるものではなく、師から弟子へと以心伝心で伝えられるものとされますが、開山様は、まさに禪の精神を身をもって実践された方であります。
1360年12月12日、開山様は風水泉という井戸の傍で、私のことを忘れることがあっても、師の大燈国師、更にその師である大応国師のことを忘れるようなことがあっては私の弟子ではない。
「汝等請う、其の本を務めよ」と遺誡され、行脚姿で立ったままで示寂されました。

編集後記

  • 予定より遅れてしまいましたが、「善勝寺だより」68号をお届け致します。
  • 10月17・18日と、妙心寺開山650年遠諱法要に行ってまいります。
    私の他40名参加され、全員願を込めた写経を携え、皆様の代表としてお参りしてきます。
  • 彼岸には、墓参用生花の販売は致しておりません。当寺での販売は8月13日のみです、ご了承願います。
  • 次号は、年末号として年内に発送する予定です。これには護持費のお願いと郵便振替を同封致します。お早めに納入いただきますようお願いします。
  • また、来年年忌法要が当たっておられる家には、今年11月末に年忌法要のお知らせを郵送致します。

(弘道)
埼玉の永代供養、墓じまいのご相談は善勝寺
〒365-0013
埼玉県鴻巣市境147
TEL.048-569-0810
FAX.048-569-2294
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