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善勝寺だより 第73号平成22年12月22日発行発行責任者 明見弘道 (3ページ) |
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ぼくとお父さんのおべんとうばこ
片山悠貴徳くんの作文(全文)
(平成22年12月7日、朝日小学生新聞より)
お父さんがびょうきでなくなってから3年、ぼくは小学1年生になりました。
お父さんにほうこくがあります。きっとみていてくれるとおもうけど、ぼくはお父さんのおべんとうばこをかりました。
ぼくは、きのうのことをおもいだすたびにむねがドキドキします。
ぼくのおべんとうばこと、おはしがあたって、すてきなおとがきこえました。きのうのおべんとうはとくべつでした。まだ十じだというのに、おべんとうのことばかりかんがえていました。
なぜきのうのおべんとうがとくべつかというと、それはお父さんのおべんとうばこをはじめてつかったからです。お父さんがいなくなって、ぼくはとてもさみしくて、かなしかったです。
お父さんのおしごとは、てんぷらやさんでした。お父さんのあげたてんぷらはせかい一おいしかったです。ぼくがたべにいくと、いつもこっそり、ぼくだけにぼくの大すきなエビのてんぷらをたくさんあげてくれました。そんなとき、ぼくはなんだかぼくだけがとくべつなきがして、とてもうれしかったです。
あれからたくさんたべて、空手もがんばっているので、いままでつかっていたおべんとうばこではたりなくなってきました。
「大きいおべんとうにしてほしい」とぼくがいうと、おかあさんがとだなのおくから、お父さんがいつもしごとのときにもっていっていたおべんとうばこを出してきてくれました。
「ちょっとゆうくんには大きすぎるけど、たべられるかな」といいました。でも、ぼくはお父さんのおべんとうばこをつかわせてもらうことにしました。
そして、あさからまちにまったおべんとうのじかん。ぼくはぜんぶたべることができました。たべたらなんだかお父さんみたいに、つよくてやさしい人になれたきがして、お父さんにあいたくなりました。いまおもいだしてもドキドキするくらいうれしくておいしいとくべつなおべんとうでした。
もし、かみさまにおねがいできるなら、もう一どお父さんと、おかあさんとぼくといもうととみんなでくらしたいです。でもお父さんは、いつも空の上からぼくたちをみまもってくれています。
お父さんがいなくて、さみしいけれど、ぼくがかぞくの中でただ一人の男の子だから、お父さんのかわりに、おかあさんといもうとをまもっていきます。お父さんのおべんとうばこでしっかりごはんをたべて、もっともっとつよくて、やさしい男の子になります。
お父さん、おべんとうばこをかしてくれて、ありがとうございます。


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