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善勝寺だより

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善勝寺だより 第60号

平成19年9月12日発行
発行責任者 明 見 弘 道
(2ページ)

東光山ミニ法話

 『般若心経』 その4永代供養の善勝寺

 

 舎利子 色不異空 空不異色

最初に書きましたが、ある時、シャーリプトラ(舎利子・舎利弗)さんが、「もし立派な若者が、智慧の完成を実践したいというなら、どのように学べばいいと答えてあげたらよいでしょうか」と世尊(お釈迦様)に尋ねました。

その時、世尊は禅定に入っておられたので、そばにおられた観自在菩薩(観音様)が代わってお話しされました。

その内容が、この般若心経なのです。『舎利子』は、一般に読まれている般若心経に2回でてきますが、「シャーリプトラさん、もし立派な若者が、智慧の完成を実践したいというなら、このように学べばいいと答えてあげて下さい。」と言った意味になります。

この舎利弗さんは、釈迦十大弟子の一人で、智慧第一と言われる賢い人であります。お釈迦様と出会う前、16歳の時には、すでに250人の弟子があったと言われます。釈迦十大子のなかで神通第一と言われた目連尊者さんも、250人の弟子を持つ宗教家でしたが、舎利弗と共に弟子を引き連れ、お釈迦様の弟子に加わりました。

そのきっかけとなるエピソードがあります。

舎利弗さんがインドのナーランダという町にいたときのこと、道の向こうから、とても穏やかで、喜びに満ちた顔をし、着ている物も清楚で、キョロキョロしないで地面を見て真っ直ぐに歩いている比丘(お坊さん)と出会いました。舎利弗さんは、この一人のお坊さんの姿を一目見るなり、すっかり感動し、「あなたはどなたのお弟子さんですか。いったいどんな修行をしたらあなたのような静かな、そういう穏やかな喜びに満ちた姿になれるのですか」と尋ねました。「私は釈迦牟尼の弟子で馬勝といいます」。舎利弗さんは、このときまだ釈迦牟尼の名前を知りませんから、「釈迦牟尼とは、いったいどういう方ですか」とかさねて尋ねると、馬勝さんは、お釈迦様のことと、その教えを話しました。

『この世の中の森羅万象は、縁起という法によって現れているのであり(因縁生起)、絶えず変化しており(諸行無常)、固定的に実在する物は何もない(諸法無我)』と。

これを聞いた舎利弗さんは、非常に驚きました。それはそのはず、インドでは、創造の神様がこの世を創り、持続の神様、破壊の神様によってこの世が支配されているといった教えが一般的でしたので、この世は神様が創ったのではない、因縁の法によってこのこの世界はできている、という教えを初めて聞いたのです。

「自我に執着するから、争いの心が生じ、嫉妬の心が生まれる。平和を乱す元は皆この自我があるからだ。罪を作ればその罪に執着し、裁かれる自己に執着し、神の前に出ても裁かれる自我を持っている。そこに人間の救われない悩みがある。しかし、自我というものはないものだと徹底すれば、この比丘のような、穏やかな、和やかな気持ちになれるのだ。

こう悟った舎利弗さんは、友人の目連尊者さんにも勧め、それぞれ250人の弟子を連れて、お釈迦様の弟子に加わったのです。お釈迦様がお悟りを開かれて、2年目と伝えられています。

肉体を含むあらゆる物質『色』は、実体として存在する物は何一つなく、縁に従って現れたり、滅したりしている『空』。『色は空に異ならず』。

また、あらゆる現象は自性がない。『空』だから何もないというのではなく、『空』だからこそ、目という感覚器官を通して、『色』として認識されるのです。『空は色に異ならず』は、そのことを言います。

〈つづく〉
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